未来の手紙

 もう会わなくなって随分たちます。
どうしておられるでしょう?
そちらのことは僕には良くわかりません。
どんな風が吹くのやら、どんな日ざしがさすのやら、雨はふるのでしょうか?
それとも雪でもふるのでしょうか……
こちらは相変わらずなのです。
冷たい風が凍てつくようで、
いつまでたってもふとれなかった僕は、
白い息をはきながら背中を曲げて、
ヒョコヒョコと歩いています。
でも、季節は変わってゆくのだから、
そのうちきっと暖かくなるのにちがいありません
 それにしても不便なものです。
僕がこうして何を書いても、
返事がないのは解ってはいるが、
やっぱりどうにも不便なものです。
僕のことは知っておられるでしょうか?
僕が今……、いやいや、これは愚問でした。
お二人のこと、きっとすべてはお見とおし。
そうでなければこまります。
そうです。いたって元気です。
 僕は何も変わっていません。
確かに体は年をとったようですが、それでも同じです。
本当に小さな頃から、僕は何も変わっていません。
 いざ筆をとってみると、書くことは何もない。
そんな気がします。昔のことは又いつか、そちらでお会いした時に……
 それでは、サヨウナラ。

一九八×年、冬 幸宏より


YMO
SEALED
『写楽』特別編集
発行日:1984(昭和59)年325日 第1
発行所:株式会社 小学館