ガラスペンを購入されるお客様には、必ず
試し書きをしていただいて、ご自身に合ったペンを選んでいただくようお願いしています」

『代官山蔦屋書店』文具コーナーのコンシェルジュさんはそう仰り、机と椅子のある静かなスペースに案内してくださいました。

「まず、お好きなデザインを10本ほど選んでください。手に取ってみて、ときめく色とデザインというものがございます」
そうして店員さんは、私が選んだペンの一本づつに丁寧にインクをつけながら、ペンの傾け方・線の細さ・硬さ・なめらかさ・インクを足すタイミングをご説明くださいました。

私がいちばん驚いたのは、店員さんがペンの「音」に強いこだわりをお持ちだったこと。
紙にペンが触れたときの音が、カリカリするものや、ザーッと流れるようなもの。
ペンを走らせる「音」の心地よさを、私は初めて知りました。

こうしてペンを10本から6…4本へと絞ってゆき、最終的に私は、手に取った瞬間ドキッとした「白い石」のペンを選びました。
インクは無限にある色の中から「月」にまつわる色を選択。

ペンが好き過ぎるコンシェルジュさんにとって、「手書きの手紙」とは、インクと便箋を用意するところから始まり「音」を経由して、紙をきれいに折りたたんで封筒に入れ、相手に届けるまでの時間の全て。

全ての所作が、誰かに想いを馳せる時間。
心のコンディションをあらわす、文字のバランス・筆圧・インクの滲み「手書きの手紙」とは、世界でただひとつのプレゼントなのかもしれません。
魔法のようなガラスペンを手にすると、大切な誰かに手紙を書きたくなります。

追記:試し書きの紙は、お土産にくださいました。
細野晴臣・坂本龍一とか、好き勝手に書いていたのですが、途中6本目くらいから「同じ文字」を書き続けないと10本のペンの比較にならないと気づきました。
店員さんは、「楽しく書く」ことを優先してくださり、あえてそこには触れられなかったそうです。