【ウェイト版の真実】

タロットはインスピレーションで読むものだという意見もあります。しかし筆者はむしろ、直感力ではなく、思考力を使って解説するものであり、思考力を通常以上の水準まで持ち上げてくれるのが、タロットの絵柄と認識しています。

絵札を見て、手で触って、札を揃える動作。
一定の形に従い札を繰り出し並べること。
悩みや迷いを払拭しようと自問自答すること。
相談者の心と向き合い、指針を導き出そうとする行為。
香りや音を使って、嗅覚・聴覚を整える。
一連の動作全てが、タロットによる占断関わるものだと考えます。

そこに描かれている一つ一つの「事柄・配色・形」全てに私たちの意識が及ぶようになることで、情報処理能力や判断力が高まり、潜在力が発揮されるように、タロットという絵札を手に取っているのではないでしょうか。

そのためにも現時点では、下記の4つを総合的に考慮し、タロットの解釈を試みることが重要だと考えます。
「象徴
「記号」
「寓意」
「図象」

絵札に伝統的な「象徴「記号」「寓意」「図象」を導入することによって、札が暗示する事柄を象徴的に解釈することが可能になったタロットが、1910年アーサー・エドワード・ウェイト博士によって世に生まれた『ウェイト版』であり、他に例を見ることができないものです。

このデッキは西洋の主だった象徴体系を網羅しているともいえます。
宗教・思想・神秘哲学的思想の集大成かのような一連のデッキについて、それが雑多なミクスチャーであるなら、その価値も限られてしまったことでしょう。

『ウェイト』版は、絵札の序列、振り当てられた数字にも細かな配慮がされており、キリスト教においては禁じられている「占い」「魔術」の要素を含む絵札も登場しますし、特定の教義や思想だけを尊ぶ構成にはなっていないところも、驚嘆すべき構成力だと言えるでしょう。

:井上教子
『タロット解釈実践辞典』:2000.08.24初版第一刷発行・発行所:株式会社国書刊行会
『タロット象徴辞典』2009.12.25初版第一刷発行・発行所:株式会社国書刊行会
『タロットの歴史』2014.11.20初版第一刷発行・発行所:株式会社山川出版社

SMITH-WAITE TAROT DECKCENTENNIAL EDITION
Arthur Edward Waite 1857.10.02-1942.05.19
Pamela Colman Smith 1878.02.16-1951.09.18
U.S. Games Systems,Inc.

Stamford,CT06902 USA
Pamela Colman Smith
ARTIST OF THE RIDER-TAROT DECK
COMMEMORATIVE SET
Arthur Edward Waite 1857.10.02-1942.05.19
Pamela Colman Smith 1878.02.16-1951.09.18
U.S. Games Systems,Inc.
Stamford,CT06902 USA