「私は あなたの想い出の中にだけいる女……
私はあなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影
さようなら 私の鉄郎……さようなら」
:メーテル

向かい側の座席には
メーテルの移り香
だけが残っていた
それがだんだん薄らいで
ゆくのが 鉄郎は寂しい
ゆらめく少年の日の
陽炎の中に影を残して
行ってしまったメーテルを
鉄郎は忘れない
あの旅立ちの汽笛が
まだ鉄郎の耳の中で
鳴りつづけている
歯を食いしばれよと
尾をひいて どこまでも
レールの上をついてくる
鉄郎は信じている
選んで出た自分の旅が
いつかきっと すばらしい
終着駅に着くことを
そうだ 鉄郎は決して
後悔はしない
旅はまだ つづくのだ
:松本零士

『銀河鉄道999』第4話・終着駅
その5 「わが青春の銀河鉄道」より

 

松本零士先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

『銀河鉄道999
1巻・昭和52815日発行〜第18巻・昭和561215日発行
写真:第4巻(昭和53115日発行)
著者:松本零士
発行所:株式会社 少年画法社

『銀河鉄道999』第4話・終着駅
その5 「わが青春の銀河鉄道」より