「今、自分のいる位置を確認するために、星を3つ見つけるのです」
なんと不思議な
魔術の呪文ような言葉です。
この不思議な術語は、地球深部探査船「ちきゅう」乗組員K氏のお言葉です。
K氏は、学生時代に船舶乗務訓練で
「日の出前」
「正午」
「日没後」
1日3回『六分儀』という計測器で、船の位置を求める研修をされたそうです。
その
「日の出前」
「日没後」に
「星」を3つ選び、「正午」の太陽の位置の答えあわせをするそうです。
太陽が1日1回 最高の高さになって子午線(=経線・地球儀に引かれている北極と南極を結ぶ縦線)を通過する位置を計測する方法を
『メリパス』(Meridian passage・子午線通過法)と呼ぶそうです。
なぜ、星を3つ見つけるのですか?とお尋ねしたら
「航海用『六分儀』は、星と水平線との間の角度を測定する道具です。
日の出前と日没後は、ギリギリ水平線と空の境界線が目視でき、同時に星も見えるタイミングなのです。
星2つの角度だけでは位置が定まりませんが、星3つなら定まります」
と、お答えくださいました。
航海用『六分儀』を使用した『メリパス』は、今から300年くらい前に使用が始まりましましたが、現在では「GPS衛生システム」や「自動操縦(ジャイロセンサー)」の普及により、活躍する機会はなくなったそうです。
しかし
「GPS衛生システム」や「自動操縦」に不具合がおきたとき、『六分儀』を使用した『メリパス』は船舶において、非常に現実的な「バックアップシステム」だということです。
これだけテクノロジーが進歩しても、最後は人間の目で計測する手段に頼ることに安堵するとともに、「AI」が普及する最中のタロットに通じるものがあると感じました。
タロットで
「今、あなたの現在位置を確認するするために、タロットを3枚選んでください」の3枚とは
「過去」
「現在」
「未来」
を示します。
あなたが選んだタロット3枚は
「過去」のデータと
「現在」のデータをもとに
「未来」の可能性を読むことができます。
そして、K氏のお言葉で、衝撃的だったのは
「4つ目の星を見つければ、更に精度が上がります」と続くフレーズです。
これも、タロットに通じていて
更に4枚目を引けば
あなたの意志を確認する
「対策・アドバイス」の札が開示されるのです。
この「3枚+1枚」の展開図はタロットの基礎で、どんなに複雑な展開図であっても、この「3枚+1枚」が下敷きになっています。
K氏は、前後左右も分からなくなる暗い海の上で、『六分儀』で自分の船舶の位置を定めることができたとき
「オレ、今ここ ‼︎」
「今 ‼︎ ここ ‼︎」と
仲間と一緒に喜びを分かち合われたそうです。
「星を3つ選ぶ」と言っても簡単ではなく
恒星(シルウス・ベガなど)は、単純に計算ができますが
惑星(金星・木星など)は動きが複雑なので、公式をあてはめる前に、別の公式にあてはめる必要があるそうです。
A3サイズの観測用紙に記入が終わるまで、早い人で20分、遅い人で50分と、個人により時間差があるのもドラマティックです。
時間がかかればかかるほど、達成したときの喜びは倍増すると私は想像するのです。
それは、私たちが前後左右も分からない森の中でさまよっているとき、明かりが見えたときの喜びのようだと感じます。
暗闇の漆黒が紫色に変わる「日の出前」の方角が「東」であることから、私は『明東館』という屋号を命名しました。
私は今、船舶とタロットに共時性を見ています。
船舶も、私たちの日常も
システマティックに管理され、多大な恩恵を授かっています。
それゆえに
「嵐の日は
水平線も星も見えない。
そのときは動けない。
ただ待つだけ」
というシンプルなことが、現代の私たちの日常では、逆にできなくなってしまったことを痛感します。
タロットも「過去」と「現在」のデータを読み解き「未来」の可能性を予見する「AI」には敵わない。
それでも、『六分儀』という道具を使用した『メリパス』が、現代においても非常に現実的な「バックアップシステム」であるように、タロットもまた、そのような役割でありたいと願うのです。
「今、自分のいる位置を確認するために、星を3つ見つけるのです」
そんなふうに
あなたの現在位置を確認するために、タロットという道具に触れていただけたら幸いです。
「未来」は
あなたが
あなたの現在位置を確認することで
変えることができるのです。