「本心とは違うこと言ってしまった時点で、不合格だとわかったのです」

Aさんは、子供の頃から大好きだった宝塚歌劇団の『男役』トップスターに憧れて、宝塚音楽学校を受験されました。
宝塚歌劇団に入団するためには、宝塚音楽学校で2年間学び卒業することが必須です。

宝塚音楽学校の受験は、中学校卒業時の15歳から18歳までの4回 応募資格が与えられます。Aさんは高校3年生の最後のチャンスを第3次試験の最終面接まで進まれました。

ところが、最終面接でAさんは
『男役を演じたいです』ではなく
『娘役を演じたいです』と答えられました。

宝塚歌劇団の《男役は身長・168㎝以上が望ましい》ということが一瞬頭を過ぎったそうです。
Aさんの身長は160㎝。

第1次試験では、1,000人近い受験生が「15秒」の面接で400人にまで選抜され
第2次試験では、歌唱・舞踏・面接で120人まで選抜され
第3次試験では、面接・健康診断で40人の合格者が決まります。

Aさんは
「どんな役柄でも、男役をしたい」
と言える女の子なのですが
最後となる第3次試験で、120人の受験生の
緊張感
プレッシャー
高揚感
情熱量
それらに満ちた、特殊な環境の中で
「謙譲」
「謙遜」
「迎合」の気持ちが一瞬舞い降りてきたのだと拝察します。

私たちは「譲歩・謙遜・迎合」を美徳とする『謙譲の精神』を持ち合わせています。
ときに本心とは違う言葉を操り、それを「場面」に従い発揮しています。

しかし
勝負での「場面」では
その『謙譲の精神』ではなく『私』を主軸にした
「主張」
「プレゼンテーション」
「告白」
「説得」
を発揮することが求められること。

「本心とは違うこと言ってしまった時点で、不合格だとわかったのです」という潔いお言葉に、私はAさんの可能性をみました。
Aさんは、この経験を活かしてこれからは「160㎝」というコンプレックスを魅力に変えてゆかれると信じています。

Aさんだけでなく
私たちは
◆ライバル・「120人」
◆制限・「身長168㎝以上」「年齢」
というふうに、自分を《相対値》で計り、知らず知らずのうちにコンプレックスを抱くことがあります。

タロットの
コンプレックスを意味する札は
『コンプレックスは才能に変換できる』
と告げています。
「自分が納得できるまで研鑽できる原石」
「他者の評価に惑わされない才能」
「数値化できない可能性」
「ライバルがいてくれるからこその成長」と、可能性をひらくヒントを与えてくれます。

あなたが今
受験・就職活動・オーデションの面接を控えているなら
ライバル・制限の中での《相対値》で自分を計るのではなく
自分の《絶対値》を信じていただきたいのです。

自分の《絶対値》を信じるとは
あなたが「これしかできない」とコンプレックスを抱いているものの中にヒントがあります。

 

平均的に、広くそつなくこなす才能ではなく
「これしかできない」と言えるもの。

 

宝塚歌劇団・星組 元トップスター 柚希礼音氏は、音楽学校の第2次試験で「ブリッジ姿でスパイダーウォーク」を披露をして、試験官を唖然とさせたエピソードをお持ちです。
「これしかできなかった」
柚希礼音氏は後に語られています。

「これしかできない」と言えるものが、あなたの才能をひらき、輝かせてくれるかもしれません。

 

あなたが面接官の前で堂々と、コンプレックスを才能に変換してプレゼンテーションできるよう願っています。