『魔術の教科書』
『恋を叶える魔法の道具』
『愛の錬金術書』
もし、そのようなものが存在するならば、あなたは手に取って試してみたいと思われませんか?
いわゆる魔術といわれるものを研究した書物は数多く実在しています。その中でも1897年(明治30年)に ウィリアム・バトラー・イェイツ博士により発刊され た『The SECRET ROSE・神秘の薔薇』という錬金術書の教義は『ウェイト版タロット』にも影響を与え、122年の永きにわたり読み継がれています。
錬金術とは、性質の違うふたつのものを融合させ新しいものを発生させるという考えかたです。
この錬金術の考えは、化学・薬学・医学の分野だけでなく生物の分野にまで幅広く浸透し、現代では人工的に新しい生命を生みだすことも日常になりました。
1897年当時のキリスト教圏では、男性と女性の融合により新しい生命を誕生させることとは、神聖なものであると教えられていました。それと同時に、その厳しい戒律を破ることで得られる快楽との狭間で人々は苦悩しました。
『The SECRET ROSE・神秘の薔薇』では
苦悩しながらも揺れ動いている「情感」(ムード)についても研究されています。
『神的なものであれ、悪性のものであれ、まず人々の心にかすかな吐息のように降りくだり、それからその思想や思考を変えてしまう』と
人が理性を見失う瞬間を
天使の囁きにも
悪魔の囁きにも例え
抗えない力があると表現されています。
そこには男女間の「情感」(ムード)の融合があり
《想像力》こそが愛の錬金術であると定義されています。
《想像力》をもって愛を発生させる錬金術とは、現代風にどう解釈するか、どうお伝えできるかが私の課題でもあります。
例えるなら
現代ではSNSの普及で、まさに魔法のように瞬時に意思の疎通確認ができるようになりました。
しかし、LINEが登場したこの8年の間に、恋愛のコミュニケーションは ますます複雑になっているように感じます。
「LINEの掟」
「LINEの既読スルー問題」
「LINE依存からの脱却」など
恋愛をうまく発展させるために いかにLINEを有効に活用するか、様々な媒体で実例をあげて詳細に解説されています。
LINEに振り回されないためには
「すぐに既読にしない」
「相手の文面の半分の長さで返信する」
「マミースタイルの文面は送らない」など、何かを禁止したり、制限を設けたり、駆け引きすることをレクチャーされています。
このことから現在では、恋愛においてLINEが重要な道具になっているのだと理解できます。
それを理解したうえで、ここで私がお伝えできることは、「情感」(ムード)とは沈黙であること。
ムードに流される
ムードに酔う
ムードを壊す
ムードを変える
陰鬱なムード
など、ムードとは数値化できない空気感、言葉であらわせない圧力と解釈していただきたいのです。
感情の共有は言葉・文字・文章でもできますが
ムードの共有は言葉・文字・文章が無力になるということ。
あなたがLINEに頼らずとも、自らのムードを醸しだし、相手のムードを察知できる女性になれれば、ふたりの関係性はよりあたたかなものに変わってきます。
相手のムードを察知できるように心をめぐらせる過程で、あなたの《想像力》は自然と磨かれてゆきます。
《想像力》を磨いて心のセンサーで相手をモニタリングしたとき、何が見えてくるでしょうか?
(深夜のオフィスでコンビニのサンドイッチを片手にパソコンに向かっている彼の姿?)
(雨の中、傘の群衆にまぎれそうになりながら駅まで歩いている彼の姿?)
(理不尽なクライアントの要求に応えようと頑張ってる彼の姿?)
(飲み会で上司の愚痴に向き合って差し上げる彼の姿?)
(ようやくとれた休日に放心状態で部屋にこもっている彼の姿?)
その彼のムードを想像できるようになったとき、あなたの送るLINEから
さびしさ
不安
不満
怒り
要求の
「どうして〜ではないの?」というメッセージが消えます。
恋はLINEでするものではなく、一緒に過ごせる時間こそが尊いと理解できれば
LINEの頻度・長さ・レスポンスの速さが恋をおしはかるバロメーターではないことに気づくことができるでしょう。
そして錬金術では、あらゆる道具は人を幸せにするために開発されると信じられてきました。
その道具であるLINEは、あなたを幸せにするために存在するということ。
幸せにする道具を自分が持っていると想像できたなら、あなたのLINEに対する姿勢は
「不安からのメッセージは送らない」
「愛からのメッセージしか送らない」ものに変わってきます。
そこには、禁止・制限・駆け引きなどで疲弊したあなたではなく
幸せな恋愛をしているあなたの姿がみえます。
幸せな恋愛は《想像力》から芽生える。
《想像力》は、恋愛だけでなくあなたの人間関係・家族関係・他者に対する接しかたも
あたたかなものに変えてくれるのではないでしょうか。
「魔術とは究極のテクノロジーである」と解明されて久しくなります。
そのテクノロジーの分野において、ムードについても数値化され解明できる時代が近い将来やってくるかもしれません。
そういった意味では、あなたは実は もうすでに『魔法の道具』を持っているのです。
それでも、その道具をどのように使えばよいのか?
取扱いに迷いが生じたとき、錬金術書でもあるタロットに問いかけ、手に取り、そこから受け取るメッセージを試していただけたら幸いです。
『The SECRET ROSE・神秘の薔薇』1897年 表紙
William Butler Yeats(黄金の夜明け団1890年-1923年在籍・教団名:Demonest Deus Inversus「悪魔は裏返された神」)
1923年ノーベル文学賞受賞
『図解 近代魔術』吉村正和:河出書房新社