「長い間の訓練と修練によって出来あがるものっていうのかな、単純にアイデアが面白いからっていうものだけではなくて、実際にはテクニックだとか長い時間によって積み上げられたもの。
そういうプロセスが形になって現れるようなものをコムデギャルソンはいつも作っていますので、”それに耐えられる音”を探すっていうのは、いつも難しいですね」
初代選曲家：桑原茂一
モード・会場や舞台設定・ステージ演出、そして音楽と、まさに川久保玲の世界を完璧な形として打ち出すコムデギャルソンのコレクション。
そこでは一点の作品に対し「この音楽の、このパート」といったように完全なまでの調和が要求されます。このコムデギャルソンのコレクション音楽を20年（1977-1997）にわたって手がけてきたのが選曲家・桑原茂一さんです。
コレクションの選曲にあたり、川久保玲さんから「こういうイメージで、こうしてほしい」という依頼はなかったそうです。川久保さんが桑原さんへ全幅の信頼を寄せておられることが伝わってきます。
音楽の世界で「選曲家」という分野を確立された桑原茂一さん。
その桑原さんが1988年にフリーペーパー「dictionary」を創刊されました。
2020年から『freedom dictionary』と名称が変わり【音楽の聴こえるアート・ギャラリー】をコンセプトに発行されています。
「フリーダム」とは、お金では買えない価値という意味があるそうです。
私は『freedom dictionary』を手にするたびに､桑原さんの「長い間の訓練と修練」を想うのです。
写真：freedom dictionary No.221
高橋盾（Jun Takahashi）
編集発行：桑原茂一
2024年11月1日発行
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◆桑原茂一さんコメント：1990年代コムデギャルソンショーと音楽・インタビューより。