「事故に遭ったのですが、何かに祟られているのでしょうか?」
「霊媒師にお祓いをしてもらったほうがいいでしょうか?」
時々、お客様からこのようなご質問をお受けいたします。
明東館ではウエイト版タロットの創作者・ウエイト博士のご意志を尊重して
合理性のある事故の概念について説明いたします。
◆1件の重大事故(アクシデント・死亡事故)の背後には
◆29件の事故(インシデント)があり、
◆その背景には300件の異常が存在するという
『ハインリッヒの法則』
日本でも航空各社が 早くから
重大事故を未然に防ぐため
インシデントの情報を共有する
「インシデント・レポート・システム」を
導入しています。
① 謙虚な気持ちで【 セルフモニター 】
②互いの気配り 【 チームモニター 】
③いつもと違う時、リスク大の時、高めよ 【 アウェアネス 】
④充分な情報で 【 グッドコミュニケーション 】
⑤安全を先取り 【 危険予知 】
⑥基本の理解で 【 ノー バイオレーション 】
⑦皆のため、自分のために 【 改善提案 】
以上のチェック項目をもとに
事故が物理的な故障によるものなのか
ヒューマンエラーによるものなのか
天候によるものなのかを
分析し
「事故に遭ってしまった!」=「祟られている⁉︎」
という個人的な感想ではなく
「重大事故に至らなかった」=「インシデント」として
カテゴライズする客観性を求めます。
それが理解できれば、
大難が小難で収まっていることに気付くことができ
今後はそれを回避する工夫ができるのではないでしょうか。
しかし、日本では新車納入の際に
神社で交通安全祈願を行う習慣があることを鑑みると
「お祓い」という連想から「障り」という感覚があることは否定できません。
日本の神道では、万物に神々が宿るという発想と共に、道具(この場合 自動車)には、それを作った職人さんの魂が込められていると考えます。
新車納入の際の 交通安全祈願とは、職人さんに敬意を込めて「道具を目的のために正しく使います」という誓いであり
事故が起こらないよう神頼みをすることではありません。
「道具を目的のために正しく使います」とは
飲酒運転はしない
携帯電話を操作しない
過剰なスピードは出さない等
先の
「インシデント・レポート・システム」と
共通点がいくつも見いだせます。
あなたが何かに祟られて
交通事故や航空機事故が起きるのではなく
確率の問題であること
それを未然に防ぐ工夫ができること
これらをご理解いただき、心に留めていただければ幸いです。
(参考文献:事故のモンタージュ ③ 岡野正治 1991.6.30発刊
ヒューマンファクターズへの実践的アプローチ
全日本空輸 株式会社 総合安全推進委員会/事務局)
(写真:AIRLINERS.NET)