「映像というのは、こちらが想像力を働かせる前に見せられてしまう。
想像力って”imagination”っていうでしょ?
それは、映像=imageから来た言葉なんだよね。
映像を見ている時は、imageを与えられてしまうので、imaginationが働かない。
imaginationを働かせる余地なく、次々と映像が入ってきちゃうので、強制力という意味では映像のほうが強いんだけどね。

音の場合は、ジャングルで2km先でカサッと鳴った音で、それが味方なのか、敵なのか、なんなのか、というのを想像しなくてはいけないので、そこで想像する力のスイッチが入るんですよね。
それと同じように、音楽が鳴った時に思い浮かぶ映像というのは、音楽が入ってくることによって喚起されるものなので、そこで見ているものは自分のimagination。
それは映像が直接入ってくることとは随分違うと思いますね」
:(2017年)坂本龍一

アルバムジャケット、解説書、そしてCDも全てが真っ白な、坂本龍一『LIFE』
この真っ白。
聴者の解釈に委ね、聴者のimaginationを尊重しましょうという教授の取り計らいが、先入観を払拭した真っ白なアルバムに表示されているのかもしれません。

坂本龍一:『LIFE IN PROGRESS・1999 』WARNER MUSIC JAPAN INC.
1999.09.12