「自分は仕事で頑張れるのは、それはただ単につき合ってる女の人に“素敵!すごいわ!”と褒められたいからなだけ」
幻冬舎を創立された見城 徹(けんじょう とおる)氏のお言葉です。
不特定多数の大勢の人から賞賛を浴びるより、賞与や地位よりも
「たった一人の誰かに認めてもらいたい」
人を動かすエネルギーはとてもシンプルなことだと思える言葉です。
私達の周りにも
「先輩と同じ大学に行きたいから受験勉強を頑張れた」
「ファッション誌の読者モデルになりたいから東京の大学に行った」
「彼と一緒に国体に出場したいから練習を頑張れた」
「月日が経ちすぎて不可能だと思えた同窓会を開催できた」など
誰かの、何かの存在があるからこそ、ふだんの力以上のエネルギーを注ぐことができ、願いを叶えた人達がいます。
その、何かを叶えたい・何かが欲しいは
人の『欲望』から派生しています。
タロットの『欲望』を意味する札は
本能・欲求
活力
創造力
向上心
克服
情熱
執着・こだわり
精力
性欲
パイオニア精神
生産性など
それをエネルギーとして、人類は進歩していると告げています。
しかし、私達は
『欲望』の過剰な側面に囚われて
傲慢
驕慢
自慢
快楽
享楽に溺れてしまうことも知っています。
このことから『欲望』は、他者に求めるのではなく自分自身を追求するためのエネルギーに使うことができればと、私は考えるのです。
自分自身を追求するとは、ささやかな日常の積み重ねの連続。
どんな大きな功績を残した人でも、一朝一夕に何かを成し遂げたわけではなく、未熟な第一歩があったはずです。
見城 徹 氏もまた、編集者として「一文字」の接続詞にこだわるところから出発されたのだと想像するのです。
「たった一人の誰かに認めてもらいたい」
その誰かに
「相応しい自分になりたい」
「薫陶を授かりたい」
「その人の目で世界を見てみたい」
尊敬の念があれば、その一途な思いは、私達に「昨日よりは今日」「今日よりは明日」と成長をもたらせてくれるでしょう。
そして、その誰かとは
目の前に実在する人物ではなく
過去の恋人であったり
ご逝去されたご家族だったり
歴史上の人物であったり
漫画の登場人物だったり
アイドルだったり
相手はあなたの存在を知らない人かもしれません。
それでも、今日一日を頑張ったあなたは素晴らしい。
削除された膨大な文字数が編集者を育むように、誰にも知られず見えないところで心を尽くすあなたにこそ、私は賞賛をお贈りしたいです。
「たった一人の誰かに認めてもらいたい」
あなたのその想い
いつか誰かに届くと信じています。
写真:『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』
著者:操上和美
発売元:株式会社 幻冬舎
発売日:2023.10.06
『たった一人の熱狂』
著者:見城徹
発行所:株式会社 幻冬社
2016.04.15初版発行