「どちらが本物の花の香りだと思いますか?」
ある洗濯用『柔軟仕上げ剤』のCMで
「本物の花」を設置した小部屋と
『柔軟仕上げ剤』を設置した小部屋に
目隠しをした人が入室し
香りをかぎ分ける試みがあります。
CMでは『柔軟仕上げ剤』の小部屋のほうが、「本物の花」と認識できるほど精度が高いことを伝えています。
「魔術とは究極のテクノロジーである」という考え方を熱烈に支持している私は、人工的に花の香りを再現できることは、まさに人の叡智の結晶だと畏れいるのです。
しかし、同じシュチュエーションで人が試されたとき「本物の花」を選択できるかどうか?
おそらく人は、ほぼ確実に「本物の花」を選択するのではないかと私は思うのです。
それは
実際に「本物の花」が設置されている小部屋に目隠しをされて通されたとき
人は
そこに花の香りだけではなく
花器に貯められた水の香り
葉や茎の放出する湿気
枝葉の戯れる音
それらが遮る外界からの光の陰
それにともなう温度の下降
それらの空間を覆う密度を
感じ取れるはずです。
精密なデータを取れば、おそらく数値化できる領域だと想像します。
それは私たちが
日常なんとなく
何かの『圧』と感じるものだと、ここでは言い換えさせていただきます。
『柔軟仕上げ剤』だけを設置した小部屋にはない『圧』を人は感じ取ることができるなら、それはタロットの対面鑑定に通じるものがあります。
「本物の花」が放出する『圧』と同じように、人と接する対面鑑定のとき『圧』が発生する。
これは、メール鑑定・電話鑑定・Zoom鑑定にはない空気感です。
対面鑑定でなくとも、それぞれに
「文章に残り、後で読み返すことができる」
「火急の懸案に対応できる」
「遠距離でも鑑定が可能」
など、メリットはあります。
しかし
お客様の
「瞳が涙で覆われる一瞬」
「瞳が輝く瞬間」
「雑談の中で繰り返し登場するキーワード」
「ずれた例え話に反応される瞬間」
「指先に込められた緊張感 」
「なにかの優しい香り」
「わずかに紅潮する耳」
「おろしたての作業服で訪問してくださる誠実さ」などから伝わってくる『圧』は、対面鑑定でしか得ることができません。
そこで感じた『圧』は
そのお客様特有のものです。
お客様ひとりひとりから感じる『圧』を鑑定に加味できれば、解釈の精度を上げることができると日々感じています。
タロットを解釈する精度とは
例えば
恋愛相談において
「彼とうまくゆきません」という内容の「彼」が既婚者だったり、セフレだったりするのを、お客様が言い淀んでいる場合でも、それを明確に指摘できることです。
その場合、「健全な恋人」とは違う解釈が求められます。
限られた時間で、お客様に納得していただける答えを提示するためには、対面鑑定が最良だと思う理由です。
それは、あなたを表現するときに
「芍薬の香りのようです」で終了するのではなく、「芍薬の香りは、お化粧品にも使われる気品があり、その花粉は粉雪のように積もり、花びらは一斉に散る潔さがあります」というふうに、あなた自身のことを更に詳しくお伝えできるということです。
なぜ、ここまで詳しくお伝えすることに私がこだわるかというと、あなたが「あなた自身の良さ」を知っていなければ、何か行動を起こす勇気を持てなかったり、変化を起こすことを躊躇ってしまうからです。
タロットは、あなた自身を知っていただくための道具です。
私がタロットを読むときに目指すことは
「目の前に開示されたメッセージを正確に伝える」ことだけです。
実は、とても無機質で冷淡な作業です。
それに『圧』が加わることで、解釈の精度を上げることができる。
そう言った意味で
私にとって対面鑑定とは、特別な思い入れがある作業です。
それで
あなたに
「あなた自身の良さ」を知ってもらえるなら幸いです。
あなたのお時間をいただけるなら、明東館でお会いできることを楽しみにしています。
写真:暮らしの道具吉山(株式会社吉山タンス店)
広島県福山市霞町3丁目4-24