『金貨の5』このカードは、“救済”を意味する問いかけのカードです。

このカードは、なぜか医学部受験生や医療従事者が引いた時に、高い確率で開示されるカードです。

吹雪の中、帰る場所のない男女があてもなくさまよっています。
目の前には“救済の場”である教会のステンドグラスが見えますが、彼らは助けを求めようとしていません。

その理由として、男性の首から吊り下げられている鈴に注目してください。
この鈴は、18世紀当時としては不治の病とされたハンセン病の患者を周囲に知らせるための隔離政策の意味を持っています。

自分たちが誰からも受け入れてもらえない絶望感。
救済の場所であるはずの教会のドアを叩く勇気さえ持てない罪悪感。
差別的な対応を強いられて、萎縮してしまった自己評価。

日本でも1996年の、らい予防法廃止になるまで、患者は隔離政策を取られ、家族と離れ離れになり、「家族や親族に迷惑がかかる理由」から、姓を名乗れないケースもありました。
わずか18年前まで、感染するという間違った先入観が横行していたのです。

しかし、このカードは、
医療に従事している方たち、医学部を希望する未来ある学生たちに、強いメッセージを送ります。

例えば現在、非常に強い感染力を持った病が流行っていたとします。

あなたは、ステンドグラスの反対側の暖かな安全な部屋にいます。
『彷徨する人を招き入れる救済の人になりますか?』
『見て見ぬ振りをして保身のために見捨てますか?』

「その理由は何でしょうか?
“どちらも正解”ですから安心してお答えください。」

「招き入れる。」と答えたかたは、
広義の意味で、病気や身体の障がいを持つ方たちの偏見と戦ってください。
患者の尊厳を保てるよう、患者の心に寄り添える人になってください。
自分の命と引き換えに、誰かの命が助かることを誇りに思ってください。

「見て見ぬ振りをする。」と答えたかたは、
命を預かる者として、自分の命を優先してください。
あなたが危険を犯し治療が出来なくなった場合、100人の患者の生きる可能性を失うなら生きてください。
一人を犠牲にして、多数を助ける自然の摂理を受け入れてください。

このカードは、もちろん医療に従事しない者にも当てはまります。
会社経営者であったり、いじめであったり、借金の保証人であったり、
全ての人間関係において、自分ならどうするかを問いかけます。

そして、このカードは、
『いつでもあなたは雪の中をさまよう人物になる可能性もある。』
ということを伝えています。