2024年6月8日。
代官山ヒルサイドフォーラムで開催された、”Everyday Life”高橋幸宏さんの展覧会の帰り道でのできごと。

雑居ビルをとおりぬけて駅に向かう途中、洗面所の前で、不安そうにしている女の子から声をかけられました。

「誰かが鏡の前にスマホを忘れているのですけど、どうすればいいですか?」

私は、一瞬「土地勘がなくてごめんなさい」とスルーしようかと思いました。
だけど、スマホを拾った女の子の必死さを無下にはできなくて、落とし主が最終的にたどり着くであろう交番に届けることを約束しました。

なぜ私が、交番にスマホを届けることになったのか?

それは、女の子の「落とし主が、まだ電車に乗ってなければ、きっと戻って来る。スマホは交番に届けたと伝えるため、ここで待ってます」の一言があったから。

それでも「戻ってくるかわからない人を、何時間も、ここで待てるの?」みたいな会話をしていると、そばにいた男性が、「僕が、紙に”スマホは交番”って書いて、洗面所のドアにテープで貼っときます」と驚きの提案!

その後、私はGoogleマップをたよりに交番にたどり着くも、警察官がいなくて渋谷署に電話。待つこと20分。警ら中の警察官が到着すると同時に、奇跡的に落とし主があらわれました。

落とし主に経緯を説明すると、「今からビルに戻って、張り紙をはがしてきます」との答え。

あの女の子は、ずっと落とし主を待っていたのでしょうか?
あの男性は、紙もテープも持っていなかった様子なので、コンビニで身銭をきって張り紙を作ってくれたのでしょうか?

そもそも、私はなんでここにいるのだろう?

それはたぶん、きっと、幸宏さんが、「純真さは人を動かす」ということを私に見せてくださるためだったのでしょう。
”Everyday Life” 何気ない日々が人生をつくっている。