僕がモチーフにもしている「髑髏」とは、”死と生誕 ”の象徴で、生きることを意味しているのです。死とは再生の始まりで、死(無)によって何がもたらされるか?何が生み出されるか?過去の自分を葬り去って、新しい自分を生きることにも繋がるのかも知れません。
(髑髏などの)象徴といえば、ギリシャ神話・エジプト神話・ヨーロッパ・アジア・アメリカでも、万国共通の普遍的な記号として登場します。
神話の中に登場する動物もそうですが、空想上のものではなくて、実は過去に存在していたのかも知れない。そんなことを想像するとワクワクします。
そういった想いを乗せて絵を描くのですが、どれだけ精度の高い作品が創れるか?
精度とは、音楽を聴くときのスピーカーもそうなのですが、小型ラジオの音を判別するものから、オーディオスピーカーの幅広い音域まで聴きとれる精度の高いものまでがある。作品の精度については常に考えていることです。
しかし、こうしてさまざまな想いを乗せた作品も、観てくださる人に「こう観てほしい」「こう解釈してほしい」とお伝えすることはないのです。
僕の手を離れた瞬間から、作品は観る人の心に委ねられるのです。
:ヒロ杉山
朝いちばんに紙に筆を乗せたとき、サッと引ける時と、引けない時があります。
天候による(温度・湿度・光の)コンディションなのか、心のコンディションなのか?そういったときは環境を変えて描いています。
絵の具以外にも画材になるものを探し求めてホームセンターの工務用スプレーペンキを試したこともあります。
僕は、グラフィックデザインで広告業界に長く携わっていました。ですから、デザイン思考(ユーザーや顧客の視点や立場で物事を考え”他人軸”で創造すること)が無意識のなかにあり、”それらしく描く”ことはできました。
しかし、親友のヒロ杉山くんはInstagramで「いいね!」をくれない。後から聞くとそれは「谷田!そうじゃないんだよ!」という意味あいを込めて、リアクションを我慢していたそう。
紙に直球で描くことに挑戦し始めて、描いては消して、描いては消しての繰り返し。
試行錯誤しながら「何も無いところに有るもの」を探す作業。それが、仏教をテーマにした作品につながりました。仏教の経典にある「無」という漢字を抽象化して、その日・その時・その瞬間を、色に、筆に乗せています。
:谷田一郎
京都で開催中の『ヒロ杉山 個展・国宝』にて、ヒロ杉山さんと谷田一郎さんから貴重なお話をお伺いすることができました。
◆ヒロ杉山 個展「国宝」
企画 桑原茂一
10月4日(金)〜10月30日(水)
時間:午前7時〜日没まで
会場:東福寺塔頭 光明院
〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目809
TEL:075-561-7317
拝観料:500円
*自然光で鑑賞する展覧会です。
写真:Freedom dictionary 213号・215号・218号
編集発行人:桑原茂一
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