理想的なのは、たとえば雨の音ですね。
一粒一粒の雨粒が何かに当たる音というのは、ぼくらにはかなりランダムに聞こえます。

でも風が吹けば、何か一定の強弱が聞こえてくる。つまり、完全にアナーキーでランダムな状態ではないわけです。そのときの雲の位置や大気の動き、温度や湿度などがすべて関係して、ランダムに思えるけれどある種の必然として、一つひとつの水の塊が降ってくる。それがぼくにとっては面白いし、理想の「音」でもあります。
:坂本龍一

『async』:坂本龍一
発売元 :commmons/エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社 2017.03.29

写真:「LIFE」a ryuichi sakamoto opera 1999