夏がおとずれて金柑の木に蝉の脱け殻を見つけると、私はタロットの『ものごとの遅い成長』という札を想い起こします。
『ものごとの遅い成長』の札は、私達が期待するように ものごとが運ばないときに「待つ」ことをどのような心持ちで過ごせばよいかを教えてくれます。

私達は「待つ」とき
例えば、Amazonで商品を注文して届くまでのあいだ、商品が届くことを楽しみにして待つことができます。
それは、数日中に希望したことが叶うことを疑わないで過ごすことができるからです。
システマティックに管理されているものには、私達は信頼をよせてそのときが来るまで静かに待つことができます。

しかし、私達は「待つ」ことの時間が不明瞭なった途端にその信頼を揺らがせてしまいます。
タロットは、そのときの心持ちが
【疑って待つ】状態なのか
【信じて待つ】状態なのかで
言葉・行動・態度に違いがおこり
未来の結果が違ってくることを示唆してくれます。

【疑って待つ】とき、私達は
「彼へ送ったLINEが 既読になっているのに返信がない」
「◯◯株式会社は うちの会社の商品を採択してくれるのだろうか」
「子供が不登校になったが また学校に行けるようになるのだろうか」
「治療中の病気はいつ回復するのか」
「新種の野菜の栽培がうまくゆかないので 今年の収穫は期待できない」など
不安になったり
焦ったり
落胆したり
悲観したり
苦言を呈したりと
穏やかでない心持ちで時間を過ごしてしまいます。

そのような状態のとき
「彼の返信を待ちきれず ヒステリックな内容のLINEを送ってしまい後悔する」
「自社の環境・社員の技術や能力・商品のクオリティに自信喪失する」
「内申書は空欄・出席日数も足りなくて 高校受験や進学ができるはずがないと諦める」
「薬の投与や苦しい自己管理を続けても 意味がないと自暴自棄になる」
「農業に興味が持てなくなり 借金も返す目処がなく改善する意欲がわかない」など、否定的な言葉・行動・態度で、本来ならば叶うはずの未来を自ら閉ざしてしまいます。

もし、あなたが待つことに否定的になりそうになったとき、長い時間を必要とする蝉の成長をイメージしていただきたいのです。
私達は、蝉が7年後に地上で羽化することを信じられるから 土を掘り起こしてまで 幼虫が成長しているかを毎日確認したりはしないのです。
むしろ、幼虫を掘り起こして 弱らせたり死なせたりすることがないように、触らないことも成長を促すために必要なことだと知っています。蝉の成長を待つとき、金柑の木が枯れることで蝉の命を左右するなら
金柑の木に水を与え
肥料を撒き
日除けを建て
草を刈り
害獣や鳥が来ないように網を張り
場合によっては専門の職人さんに手掛けていただくなど、できる限りの工夫ができたなら、あとは羽化を信じて待つだけです。

【信じて待つ】状態とは
「彼は返信もできないくらい残業で忙しいのだろうと思い遣る」
「うちの会社の開発チームは 絶対にいいものしか作らないと信じて支援・応援する」
「私立校・通信制・夜間制・専門校・予備校の資料を取り寄せ 選択肢を広げる」
「医師の治療法に全幅の信頼をよせ 食事・飲酒・喫煙などを節制する」
「化学肥料ではなく堆肥を・殺虫剤ではなく紙袋に変更して試す」など、そのことがらに できる限りの工夫ができたなら、先の揺らいだ信頼も 肯定的な言葉・行動・態度に変わり、叶えたい未来を実現させる可能性を開きます。

待つあいだのその過程に 様々な工夫や努力があったなら、肯定的な心持ちで結果がやってくることを信じられます。

『ものごとの遅い成長』の札は
《待つことでしか生まれ得なかった工夫や努力があること》
《相手を信じて 委ねる・尊重することも必要である》と、待つことの積極的な意味を教えてくれます。

「待つ」時間を過ごすときの言葉・行動・態度で未来を変える可能性があること。
然るべき時期に成長をとげるものがあること。
触りすぎて状況が悪くなるなら 静かに見守る好機に変えること。
これらを理解していただけたなら、あなたにとって最善を尽くすことが何であるかが見えてきます。

あなたが待つことに疲れを感じたとき、タロットで「待つ」ことの積極的な意味に気付いていただけたなら幸いです。
あなたの心が穏やかさに満ちて 期待しながらなにかを待てるよう願っています。

 

◆蝉は、卵から幼虫〜成虫へと成長する不完全変態の昆虫です。蝉の生態についてはまだ充分に解明されていません。
◆幼虫として地下生活する期間は種類により3〜17年と報告されています。