「霊感タロット」と称するものは
「正統的なタロットではない」ことを自ら宣言し、
尚且つ、感覚やインスピレーション等で
タロットを自由に解釈するという
非常に危険なものだと言わざるを得ません。

600年もの歴史を持つタロットは
コルネリウス・アグリッパ『 オカルト哲学 』(1510年)
エリファス・レヴィ『 高等魔術の教理と祭儀 』(1856年)
など、
【合理主義】の職人・医師や政治家・軍人・法律家
【神秘主義】の哲学者や聖職者・文学者
ロマン主義の芸術家らから成る
フリーメイソン(またはその亜流)結社において
現在に至るまで研究が重ねられ 継承されてきました。

タロットの完全版について言及している
オカルティスト・哲学者 エリファス・レヴィは
心霊主義における霊との交信について
「霊魂や精霊が
上層領域を実際に離れて私達と話にやって来るという根拠はない」
と、明確に拒否をされています。
そもそも「霊感」というキーワード自体が存在しません。

タロットは普遍的なものの『象徴』が
絵画として札になっているもので、
そこには創作者の想いが
厳密なメッセージとして込められています。
それを正確に翻訳するのが鑑定師の役割です。

例えば
「胸から血を流すペリカン」。
ペリカンは雛に 自身の血液を餌として与えることから
自己犠牲・精神の美徳を意味します。
このペリカンを
「流血からのインスピレーションで怪我や事故が起きます」
などと、勝手に解釈することは あり得ないことで、
タロットの創作者の意志を冒涜するものです。

しかし、近代以降も
降霊術や天使の召喚・悪魔払い
黒魔術・白魔術の儀式が行われたことは
歴然とした事実です。

それは、あくまで儀式であり
魔方陣や護摩符など
細かな礼儀作法があり、
羊の命などと引き換えに行われました。
更に、医師または精神科医、神職に携わる神父の
立会いが条件となることもあり、
召喚者は

①バベルの塔崩壊以前の始原言語を理解できる・喋れる。
②未知の外国語を理解できる・喋れる。
③「原子爆弾の作り方」など、本人しか知り得ない情報を知っている。
④ピカソの絵を描ける、モーツアルトのピアノが弾ける等、
本来自身が持ち合わせていない能力を発揮する。
⑤未知の街や、未知の文化を知っている。
⑥天文学に精通している。
⑦過去の歴史を網羅している。
等の条件を満たすことが求められます。

以上を以って 降霊術や召喚は
「ほぼ成功していない」
状況と報告されています。

面白いことに、これらを
「ほぼ成功させている」のは
テクノロジーの分野なのです。
『魔術とは、究極のテクノロジーである』と、
近代以降のフリーメイソンでは主流の理念となっています。

日本でも「霊界」「幽霊」「占術」という
不可視の領域を追求・研究され、
否定された先駆者が 哲学者 井上円了 先生です。

「霊感タロット」なるものを受けて
そこで語られた
「不吉なことが起こるからパワーグッズを購入しなさい」
「除霊しましょう」等の
メッセージは、無視してください。

それは全く根拠のない妄言なのですから。

タロットや悪魔払いの クライアントとは
本来は患者の意味であり
患者には無償で奉仕することが求められていました。

どうか、高額な料金を請求するものに対しては
強い警戒感を持っていただき、
タロット鑑定に附属品(パワーグッズ)等は
一切無いことをご理解願います。

 

(参考文献:吉村正和・近代魔術:河出書房新社)
(井上円了:妖怪学全集・第四 純正哲学部門:柏書房)